ナースステーションとナースコールの微妙な関係
看護婦、という呼称が看護師に修正されたのはいつのことだったでしょうか。
性別を示す呼称が次々と改訂された時期だったと思います。少し過剰反応にも見えましたが、男性もいるのに婦という言葉は確かに不適切なので、納得感はありました。
しかし、それはあくまで制度上、書類上の話。
多くの人は未だに病院の女性看護士を「看護婦さん」と呼んでいます。
つい先日、都内の大きな病院の入院病棟に行く機会がありました。
そこでまず最初に目についたのは、ナースステーション・・・じゃない!
スタッフステーション・・・だと!?
実は、事前に職員の人から「ナースステーションに向かってください」と言われていたのですが・・・
ナース、といえば日本人はみんな「看護婦」を連想します。
だから、もしかするとそういった理由からナースステーションという呼称がスタッフステーションに改められたのかもしれません。
「看護師」であっても英語ではナースで間違いないのですが・・・
この病院は以前からそうだったのでは・・・という可能性を考えもしましたが、看護師の人たちもみんな「ナースステーション」という言葉を使い、誰一人として「スタッフステーション」などとは言いませんでした。
つまり、以前はナースステーションと呼称していたと考えて良いでしょう。
前述した通り看護師でもナースなので別にいい気がしますが、誰かに配慮した結果なのでしょうか。
ここで、はたと一つの疑問が浮かびます。
ナースステーションが
スタッフステーションになったのであれば
ナースコール・・・は?
病室で看護師さんに訊きました。
「看護師さんを呼ぶ時は・・・」
「はい、看護婦マークのついたスイッチ・・・これがナースコールです」
するとそこには、横に少し広がったボブカットの女性がナース帽をかぶった姿をデフォルメした・・・明らかに看護婦マークのボタンが先端についた、パーティークラッカーのような形の白いスイッチでした。
・・・・
これは、どういったことだろう?
思うに、スタッフステーションは入院患者のみならず面会人や外部の人間が多く目にする上、その病院ではでかでかと「スタッフステーション」と正面に掲示されていました。
多くの一目に付く上、文字としてはっきり表現されているからこそ、関心を集めてしまったということでしょう。
対してナースコールは、それ自体に「ナースコール」という印字はなく呼称されるのみです。入院患者意外に目にする機会は少ないし、実際に看護師はほとんどが女性だからあまり誰も気にしなかったのでは・・・
うん、ほとんど想像でしかありませんが、ナースステーションはスタッフステーションとなりましたが、ナースコールは難を逃れた(?)ようです。
これもある意味不平等・・・? 二つの言葉の微妙な関係が察せられる状況でした。
※注:あくまで一つの病院を見ただけなので、当然別の病院ではそれぞれ別の名称の可能性があります。
最後に。
看護師に女性が多いのは、やはり女性患者のサポート(トイレや入浴)が女性ではないと問題がある、という考えからでしょう。
それを言えば男性患者が女性看護師にそういった世話をされることも同列に考えるべきだと思いますが・・・そういった性区別は刑法なんかにも見られますし、ある程度は社会の同意を得ていると考えていいのでしょう。
一部の人・団体の抗議により制度や名称が変わることがありますが、そういった「大きな声」に対応した結果で問題があるとすれば、声が上がった部分だけ対応されるという『対応の不平等』なのかもしれません。