カレー > カツ丼
懸命な読者の皆さんは、このタイトルが 料理の戦闘力 を表したものだとすぐに気付いたことでしょう。
もはや説明するまでもありませんが、ここではあえて初心者向けに、カレーがカツ丼を上回るというのはどのようなロジックによるものか、ステップを踏んで解いてみましょう。
1.
カツ丼があります。
からっと揚げたジューシーなカツをふわふわの卵でさっと閉じたカツ丼です。
誰がどう見てもカツ丼です。
2.
カレーがあります。
カレーライス、ではありません。カレー単独です。
国民食といっても過言ではないほど日本の食卓に浸透したカレーは、本場インドの人にも「ココイチのカレーが世界最高」と言わしめるほどガラパゴス的な進化を遂げてきました。
そんな、お肉と野菜をやわらかく煮込んだカレーが銀のソースポットの中で食欲をそそる香りを放っています。
誰がどう見てもカレーです。
3.
カレーをカツ丼にかけます。
カツ丼が隠れてしまうほどたっぷりかけます。
4.
通りすがった人に尋ねてください。
「これはなんという料理ですか?」
5.
ほぼ100%の人がこう答えます。
「これはカレーです」
6.
その人にその料理を食べてもらってください。
7.
スプーンでかき分けて奥のカツ丼に行き当たって、その人はこういうはずです。
「あぁ、これはカレーじゃない。カツカレーですね」
カツ丼という存在が完全に消えてしまいました。
これは実に恐ろしい現象ともいえるでしょう。上に掛けるだけで、既存の料理の存在をいともたやすく自らの領域へと取り込んでしまうのです。
このようにカレーの戦闘力は非常に高く、カツ丼ではまるで相手になりません。
よって カレー>カツ丼 なのです。少々簡単すぎたでしょうか。
カレーと真っ向から勝負できる存在としてよく議論で挙げられるのはラーメンですが、僕は今、魔王の如き彼の者へ対抗しうる逸材としてオムライスに注目しているところです。
今後の展開からも目が離せません。